Prelude

午前二時、海岸にて

世界なんか雨に沈んでしまえば良い
遠くで聴こえるのは、波の唸りと
段々と滲みて来る
色で表すんだったら、濁った灰白色
明るい世界なんて望みはしない
耳鳴りと海鳴りと幻聴
暗く、うつくしい海の底の其処から
悲しみよ空から降らないで
海岸線の波飛沫
いっそ、貴方との心中願望

熱砂の産声
静謐を隠す喉元に
夜と朝とを幾つ越えて
約束という嘘が絡まる場所で
砂時計の曖昧な終焉
声を嗄らした結末
迷い子達の朝
夜はまだ目覚めはしない

雨粒が響く世界の奥で
きらめきを孕んだときめきの中で
嘯く儚い嘘の果てで
遠い未来を夢見る眸の手前で
愛を奏でる音の途中で
どこかで、そこで

さめざめと流星痕
モザイクの欠片に触れて
透明に深遠に落下
羊水が潜む淡いブルー
水面と揺れて溺れる
子午線の溜め息
波音のまにまに

理のボーダーライン
性愛に捧ぐ
ノイジー・ノイジー
最終結果の暴挙
果実で汚した指先で
テクノとロジック時々冷めたコーヒー
逃した魚は大きいか否か

フリック式のポラリス
北極星は撫でる指先へ
フィンガーボールの静寂
無言を殺める唇
リップ オン オンデ (ondee[仏] 驟雨,夕立)
夕立ちの頃に出会いに行くよ
行き先不明の画面の中で

黒のラインに這わす指先
いつか望んだ心中の様に
憧憬は遠くの沖へ
劣情の隙間の光芒
だって世界が無意味に眩しいから
望んだ掌と違う
砂の心臓

眠れぬ夜の蛍
三千世界の桟橋で
街灯と外套の常套句
唇に黎明と愛の音を
夢見た帽子は瞼を落とす
恋と落ちた指先
眠れぬ夜は誰の為

燐光を孕む月みたいに
ベースラインで綱渡り
キラーチューンのカウントダウン
ミラーボールに愛を貼り付けて
焦がれた心は溶けたシュガーの香り
陳腐な夢に浸っているの
ミルクホール・デッドナイト

静謐の棺
チョコレートクリームは憂鬱を孕む
唐草が蔓延る夢の中で
午睡の先で愛が入水するの
数多の星屑、繋いで解く
貴方が眠る泥はどこかしら?
蛍光ペンの下で交わす逢い引き
ヴィヴィッドな解釈で
カレイドスコープの掌
涙の沼に沈む頃

インプットインサイド
傍らには熱情
煌びやかな微睡み
セレナーデが崩れて行く
ベッドサイドメモリーズ
パスワードの消費期間
終わる事を願ってない
アウトプットスーサイド
クラシカルララバイと口癖
指先だけで恋に落ちた
言葉の先の邂逅
回廊感情

失くした鍵の終幕
淋しがりの言い訳
冷たくなるのは心ばかりで
指先にあげる
迷子になる旋律は影に溶ける
いつかまた、ゆめをこえたさきで
真冬が佇むバス停で
プラットホームに星が滑る
鍵盤の上に晩夏
鮮やかさを欠く海にて
眩しいモノばかりじゃ無いね
綺麗な罪だけが揺蕩う場所で
すべてが無く成れば良いのに
言葉はハラリと零れて散った
愛するが故に愛されるが為に
翅を千切ってさぁ、できあがり
涙を星に模して
雨を牙に変えて
君を夢に還して
僕を海へ沈めて
世界だけが素知らぬ顔で回り続けるよ
出会った事が罰だとしたら
懐柔する痛み
戸惑いを殺して君を攫おうか
さよならを言い慣れない唇
繋いだ掌の熱だけが幻
皮肉をも僕の愛だと受け取って
ハミングバードは砕けた世界で泣くばかり
漂うのなら貴方の側で
極彩色に隠れる退廃
爛れた恋心の侵蝕
ほら、つかまえた

鍵は掛けただろうか?
翅は落ちただろうか?
声は枯れただろうか?
恋は忘れただろうか?
悪夢は見ただろうか?
君を愛してただろうか?
僕は愛されただろうか?
君に告ぐ疑問符

共倒れスケルツォ
怠惰の波にその身を浸して
ただ青い夜を渡るだけ
月の海で溺れる魚の様に
きらきら、じわじわ、
尊い唇は曖昧さを求めてる
ドレープの端で交わす蜜事みたいな
カナリアは淋しい嘘を吐く
華に雨、君に傘
独占欲の最果て
星の川にこの身を沈めて
きらきら、どろり
矛盾を繰り返す願いが叶うなら
躯になる (躯=むくろ)
浴室の中でとろけましょう?
酸素を求めて月を枯渇する

心音の密度
どうぞ、糖度
にわかの精密性
通り雨の制度
秩序ある底辺
節度ある触れ合い
惰眠の濃度
赤い行為
とめどなく、どことなく
嘘吐きの経緯
春を騙す人
夢の中で死に行く夢を
まぼろしができるまで
優しく笑って泣いてるね

落ちるなら泥でもノアでも一緒
誘う悪魔を蹴落として
テトラポットの睡眠欲
ネオンを泳ぐ魚に成った気でいる
さめない、なんて誰が決めたの
朝を拒絶する腕
低空飛行で抱き合う
噛み合う皮膚
燻し出した恋心が溶けている
黎明を泳ぐテトラ
場違いな呼応
願いはいつだって叶う事を忘れてる
赤い星が踊るドレスで
ラベルの裏のラヴェル

ブルームーンショコラ
星降る碧海で待っていて
スイートローズ、あいのうたを
真夜中と深海
ストロベリーマカロンの中で溺れたい
雪の中にアルビノ
混ざり切れないのならば、いっそ
今宵は貴方の睛へと墜落

スカートの端は結んだ儘
世紀末のガボット
湯冷めを恋うクジラ
ブラウンシュガーは恋の溜め息
狼になれない子は誰だ
菜の花色の道しるべ
濁点を外した言葉の先に
シュノーケリングバタフライ

レディレディ、今宵は悪夢を棄てて
蜜蝋に星の数程の溢れる光を
神様、今日くらいは僕を許しておくれ
背中から落ちた羽の意味
世界なんか知らないままで
艶やか過ぎる世界の抜け殻
それは、おなじもの
月の爪先
波を纏う太陽
ゴールドダストの向こう側
彩度のアイリス
噛み付くだけの天使
楽園の果てで悪魔に成る
眠れぬ森のラプンツェル
愛されたい、愛されない、
スケールでは測れない距離感
真冬の花は何時だって白かった?

抱き寄せられた水素
パラダイスシンドロームは迷子のしるし
涙の価値の化学式
灰に触れたいの
誤動作を嫌う鼓動
振動と光彩
繋がれた海馬
眠れない元素は君を思う

唇の代わりに愛を落とす場所
惑星と涙腺の形状
雷雲が通り過ぎる前に
緑が揺れる灰の夢
降り注ぐのはただの熱情
恋焦がれたのは誰の為?
空白だらけの回答用紙
黒炭が描いた淋しがりの涙
綺麗な言葉に刺さる棘
両手ぐらいの海に落ちて行く
魚眼レンズの其処で
貴方の為に金魚に成る
幸せの形を抱いて泳いで死ぬの
蝶尾が揺れる水面にて

泳げない太陽を夢見て
削る事の出来ない沙漠の様に
言い訳を飲み込む青さで
色褪せる事を嫌う言葉の多さ
夏を纏うポートレートの片隅
場所を求める事では、なくて
声に成らない声で私だけを呼んで
雨中規模の内緒話
幸せと東雲の距離感
微笑み合って円を描く

当てもない満月
何時だって貴方の事ばかり
潮騒のさいはて
手探りの優しさ
呼ぶ声はきまぐれに
あいしてよ



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